先日、日経新聞のコラム春秋欄に、筆者が居酒屋で日本酒を飲もうと“ぬる燗”を頼んだところ店員が理解できなかったとの記述があり、普通の日本語なのにと嘆いていました。

私自身は酒を飲みませんが、熱燗や上燗・ぬる燗などの表現は知っています。世代にもよるのかもしれませんが、普通の日本語(と自分では思っている。)なのに通じないということが時々あって驚くことがあります。

この間当事務所の職員が建売住宅を購入したのですが、市役所が固定資産税の評価にやってくるというので「一件立派な家に見えますけど安普請なんです。と強調すると評価額が下がる(要するに固定資産税が少なくなる。)かもしれないよ。」と冗談に言ったら、「ヤスブシンってなんですか?」と聞いてくるではありませんか!

家を建てたり土木工事をすることを普請するという表現を使うのに、この職員は聞いたことがないというのです。粗末な造りの家を“安普請”という表現をするのですが、まったく知らないと言います。

「よく時代劇やなんかで小普請組など出てくるでしょうが」と言ったら「時代劇でしか使わないんじゃないでですか。」と一蹴されてしまいました。他の人にも聞いてみたところ50代以上の人は知っていましたが40代以下は全員知りませんでした。

落語や新派の舞台のセリフでたまに聞いたことのない表現が使われることがありますが、“普請”というコトバもそろそろ死語になりかかっているのかとびっくりしました。

冒頭のコラム春秋欄にも同様のことが書いてありましたが、日本酒を燗をつけないで(要するに温めないで)
冷たいままの状態を“ひや”と言いますが、これも知らない人が結構多いようです。

何年か前に当事務所で新年会をやったときに、(酒飲みが二人しかいないのですが)高校を卒業して入社したばかりの女性職員に「ひや二つ頼んできて。」といったら少しして店員さんがなんとコップに入った水二つ持ってきたのです。

「水頼んでないよ。」と言ったら
「先ほどおひや二つとその方に頼まれました。」と言うのです。

みんなで爆笑です。冷たい日本酒を指す“ひや”に“お”をつけると、全く違う意味になってしまうということをこの女性職員は知らなかったのです。

“ひや”ということばすらももしかすると死語になりかかっているんでしょうか。小学校から英語を教えるより正しい日本語をもっと教育した方がいいんじゃないですかね。