エッセイ
私のお芝居礼賛(61)
万人に愛される稀有なスターという人はそう多くはありませんが、私は喜劇俳優藤山寛美さん(平成2年没60歳)、歌舞伎役者18代目中村勘三郎丈(平成24年没57歳)、プロ野球の長嶋茂雄さん、そして女優の藤山直美さんがこの特別 …
私のお芝居礼賛(60)
作家の井上ひさしさんは「ヒロシマとナガサキとオキナワの3本を書かないうちは死ねません。」と常々口にしていたそうですが、広島を舞台にした“父と暮らせば”、沖縄を舞台にした“木の上の軍隊”に続いて今回長崎が舞台の“母と暮らせ …
私のお芝居礼賛(59)
“ 俊寛 その三 ” 平家物語巻三中「有王島下り」の段には、赦免船に乗ることが叶わなかった俊寛のその後に関して次のような記述があり読者の涙を誘います。 鬼界が島に一人残された俊寛は深い絶望と孤独に打ちひしがれますが、しか …
私のお芝居礼賛(58)
“ 俊寛 その二 ” 江戸時代の享保4年(1719年)初演の近松門左衛門作の“平家女護島”というお芝居のなかの法勝寺(ほっしょうじ)の僧俊寛は、自分を犠牲にして他の人を助けるという美談仕立てのいわばヒーローとして描かれま …
私のお芝居礼賛(57)
“ 俊寛 その一 ” 歌舞伎の演目には源平合戦を描いた“平家物語”から取られたものが多く、登場人物がほぼ実名で出てくるのでこの物語の知識があると芝居の理解がより深まります。今から40数年前の私の大学受験時代に、古文の入試 …
私のお芝居礼賛(56)
平成30年8月の歌舞伎座第一部は劇作家北条秀司の名作「花魁草(おいらんそう)」でした。この戯曲は七代目尾上梅幸のために書かれたものだそうで、昭和56年2月梅幸主演により歌舞伎座で初演されました。花魁草とは“草夾竹桃(くさ …
私のお芝居礼賛(55)
「砂の器」 その四(番外編) 「砂の器」その四(番外編)はタバコの話です。 昭和40年代から50年代にかけてテレビドラマでも映画でもタバコを吸うシーンが数多く見られました。今ほど嫌煙権が声高に叫ばれることのなかった時代で …
私のお芝居礼賛(54)
「砂の器」 その三 今西刑事の捜査が東京のほかにも北は秋田県から山梨県・石川県・三重県・大阪府・島根県とかなり広範囲にわたりその都度鉄道で移動します。この映画には昭和49年当時の日本の原風景と共に、運行していた汽車や、 …
私のお芝居礼賛(53)
「砂の器」 その二 映画版「砂の器」にはもう一つ原作にはないシーンがあります。それは心優しい三木謙一巡査が本浦千代吉をライ病患者の療養施設に入れるために馬車に乗せて駐在所を去る際(原作では昭和13年ごろの設定で、映画で …
私のお芝居礼賛(52)
「砂の器」 その一 「ぱあと50」で監督や演出家による原作の脚色・書き換えは原作のイメージが損なわれることがあってあまり好ましくない気がするというような意味のことを書きましたが、多くの場合原作の品質まで落としてしまうこと …