- 優秀な 人でもやっぱり 痴呆症
- 痴呆症 なってようやく 人並みに
- 症状が 進み人以下 成り下がり
- 痴呆症 昔の癖か 頭(づ)は高い
- 痴呆症 それでも大事な 我が身内
- 秘めていた 本音を聞いて 皆ボーゼン
- あの人が かくなるものか 痴呆症
- 喋るだけ それでも嬉しい 痴呆症
- 息をして 動くだけでも ほっとする
- 痴呆症 心安らか 死ぬ間際
- いい面も なきにしも、かな 痴呆症
優秀な銀行員だった叔父が75歳あたりに痴呆症と診断され、亡くなってしまいましたが あんな優秀な人でも痴呆症にかかるんだと思ったのが①です。優秀な人なので多少物忘れがあっても実はそれで人並のレベルなんだと感じたのが②です。
ところがほどなく症状が進んで普通のレベル人並みとは言っていられなくなって悲しく思ったのが③です。それでも銀行の支店長時代の気持ちが残っているのか結構上から目線の物言いも目立っていると感じたのが④です。痴呆が進もうと上から目線の物言いがきつくなろうとも大事な大事な私の叔父ですとの気持ちが⑤です。
⑥は30年ほど前のある事件の(墓場まで持っていくはずだったであろう)真相と自身の本心を語ってくれて、連れ合いの叔母も含めて全員ひっくり返るほどのびっくり仰天、小声で「ごめんな」と謝る叔父の姿に怒るのも忘れて全員涙涙でした。
予想以上に早く痴呆が進み誰の顔も判別でできなくなった悲しい気持ちが⑦です。あんなに優秀な人がこうなるのかと不思議です。
意味のないことでも喋ってくれているだけで嬉しいと感じるようになったのが⑧です。
やがてそれすらもなくなってしまうのですが、それでも息をしている!動いている!!生きていてくれている!!!だけでもほっとしてしまう状態が⑨です。
そしてやがてもうすぐ訪れるであろう死も本人はもはや何の恐怖もなく心安らかに旅立つのであろうと感じたのが⑩です。
連れ合いの叔母にとっては辛い介護の日々でしたが、ほんの少しでも我々にほっとする瞬間や安らぎも確かに与えてくれたこの痴呆は悪いことばかりではなく、よかったなと思えることもなきにしもあらずだったかなと感じたのが⑪です。