エッセイ
私のお芝居礼賛(127)
( 二条城の清正 ) この作品は昭和8年に初代中村吉右衛門の加藤清正、中村もしほ(17代目中村勘三郎→当代勘九郎のお祖父さんです。)の豊臣秀頼で初演されました。すでに徳川の世になっている中で、豊臣家の行く末を案じ何として …
私のお芝居礼賛(126)
( ゆうれい貸屋 ) 名もない長屋の住人たちの哀歓を描いた作品を数多く手がけた山本周五郎が昭和25年に発表した“ゆうれい貸屋”は、昭和34年に歌舞伎に取り入れられ初代尾上松緑と七代尾上梅幸によって明治座で初演されました。 …
私のお芝居礼賛(125)
( “ 怪談牡丹灯籠 ” その二 ) 3時間ほどのお芝居の中で幽霊が舞台に現れる場面はそう多くはありません。下男の伴蔵・お峰夫婦は当初お札を剥がしてくれという幽霊の依頼を断っていたものの次第に金に目がくらんで幽霊のいいな …
私のお芝居礼賛(124)
( “ 怪談 牡丹灯籠 ” その一 ) お芝居好きの誰もが知る怪談ものと言ったら“東海道四谷怪談”と“真景累ヶ淵”そして“牡丹灯籠”でしょうか。江戸時代末期から明治にかけて活躍した噺家三遊亭圓朝はその卓越した才能ゆえに師 …
私のお芝居礼賛(123)
( 絵本太功記 尼崎閑居の場 ) 明智光秀を主人公にした歌舞伎にもう一つ“絵本太功記(えほんたいこうき)”というのがあります。こちらは近松柳など三人の戯作者の合作で、武智光秀が小田春永の不興を買う初日から本能寺の変、そし …
私のお芝居礼賛(122)
( 時今也桔梗旗揚 ) NHKの大河ドラマ“麒麟が来る”の放映が新型コロナの影響で中断されていたのですが、先日やっと再開されました。天下の謀反人明智光秀の生涯を描くこの大河ドラマは、長い間悪役とされ続けてきた光秀に光を当 …
私のお芝居礼賛(121)
( “ 夫婦善哉 ” その二 ) 舞台“夫婦善哉”は、とっても後味のいい作品です。柳吉が実家を勘当され出入り禁止といういわば追放されながらも惚れた女とつましくこれから暮らして行けるだろうなと予感させる終わり方だったからで …
私のお芝居礼賛(120)
( “ 夫婦善哉 ” その一 ) 放蕩(ほうとう)息子と呼ばれる人は遠い昔から存在し、落語や小説にもよく取り上げられました。昭和15年に発表された放蕩息子を題材にした短編小説“夫婦善哉(めおとぜんざい)”は無頼派作家の織 …
戦争と経営の共通点(10)
休むのも仕事の内 新型コロナウィルス蔓延で世の中は大変な状況になっていますが、安部総理大臣が連続147日休みなしに公務に携わり続けた後、先日慶応大学病院でほぼ丸一日検査を受けたことで色々憶測が広がっています。自民党の総理 …
私のお芝居礼賛(119)
( “十三夜 その二 ” ) “十三夜”という舞台を見て私が感じた“ちょっと待てよ!” それは、現代劇専門の精悍で格好いい役回りの多い松村雄基(昭和38年生まれ→公演当時52歳)は新派悲劇の人力車夫には全く向いていなかっ …