エッセイ
私のお芝居礼賛(70)
平成最後の歌舞伎座夜の部は澤瀉屋(おもだかや)家の芸である猿翁十種の「黒塚」でした。この芝居は奥州安達ケ原の鬼婆伝説を素材とした舞踊劇で当代(四代目)市川猿之助の曽祖父である二代目猿之助(昭和38年没)が昭和14年に初演 …
私のお芝居礼賛(69)
昨年夏とうとう千代田区有楽町にある東京宝塚劇場に足を運んで“ヅカデビュー”しました。といっても私のことではありません。当事務所のお客様でお医者さんのS先生が還暦にしてついにヅカデビューを果たしたというエッセイを医師会報に …
私のお芝居礼賛(68)
( 盛綱陣屋 その二 ) 今回の“盛綱陣屋”にはもう一つ興味をそそられる点があります。それは子役の小三郎(佐々木盛綱の子)と小四郎(佐々木高綱の子)です。上演記録を調べると今回主演の仁左衛門丈が昭和28年1月大阪歌舞伎 …
私のお芝居礼賛(67)
( 盛綱陣屋 その一 ) 平成31年3月歌舞伎座夜の部は明和6年(1769年)初演の「近江源氏先陣館 八段目」の“盛綱陣屋(もりつなじんや)”でした。この狂言は鎌倉時代の設定ですが徳川家康が豊臣秀頼を攻めた大阪の陣を素材 …
私のお芝居礼賛(66)
平成31年2月の新橋演舞場は松竹新喜劇と新派のコラボで(二代目)水谷八重子や波野久理子、藤山扇治郎などと共に客演に藤原紀香を迎えての、平成8年に93歳の天寿を全うして他界した現代屈指の劇作家北条秀司の傑作“華の太夫(こっ …
私のお芝居礼賛(65)
宮沢賢治という名前を聞いて多くの人は“雨にも負けず 風にも負けず”の詩や“風の又三郎”や“銀河鉄道の夜”と言った童話を思い浮かべることと思いますが、“イーハトーボ”という人間と自然が共生し誰もが争わないで自由で平等な理想 …
私のお芝居礼賛(64)
平成30年12月の観劇納めは新橋演舞場の渡辺えり・キムラ緑子主演喜劇「有頂天団地」でした。“有頂天シリーズ”第三作目のこの作品は、前作・前前作の復讐劇とは違って原作者の小幡欣治が「ごく平凡な家庭の、ごく平凡な日常の出来事 …
古代ローマと大相撲、そして大学ラグビーの”不適切な”関係
※当事務所のお客さんで早稲田大学出身、西洋史と大相撲とラグビーに造詣の深い方から次のようなエッセイ風のメールを頂戴したのでご本人のご了解を得たうえ当事務所HP上でご紹介します。 「古代ローマと大相撲、そして大学ラグビーの …
私のお芝居礼賛(63)
平成30年11月のシアタークリエは、大竹しのぶ主演の「ピアフ」でした。エディット・ピアフは第二次大戦前から戦後にかけて多くの人から愛されたフランスのシャンソン歌手で、1915年(大正4年)パリの貧民街で生まれ1963年( …
私のお芝居礼賛(62)
誰もが知る天下の大盗賊の石川五右衛門は、悪事も含めたその事績は実は不明な点が多く詳しい本当の所はわかっていません。ただ戦国時代に日本にやってきたポルトガルやスペインの宣教師が書いた文章やそのほかの史料の中に五右衛門の名前 …