エッセイ
私のお芝居礼賛(51)
平成30年6月の歌舞伎座夜の部は、欲にまつわる因果を怪談仕立てで構成した宇野信夫作「巷談宵宮の雨(こうだんよみやのあめ)」でした。この戯曲は昭和10年9月歌舞伎座で初演された昭和世話物の名作で六代目菊五郎(当代勘九郎の、 …
私のお芝居礼賛(50)
平成30年6月の三越劇場は劇団新派公演、江戸川乱歩の「黒蜥蜴(くろとかげ)」でした。この小説は昭和9年月刊誌“日の出”に1年にわたって連載され美貌の女賊“黒蜥蜴”と敏腕私立探偵明智小五郎が対決する物語で、乱歩特有のエロ …
私のお芝居礼賛(49)
平成30年の今年は明治150年に当たるため、演劇では明治維新関連とりわけ西郷隆盛が数多く取り上げられています。NHK大河ドラマの「西郷どん」、3月の新橋演舞場は西郷隆盛と勝海舟の会見をコメディタッチで描いた「江戸は燃えて …
私のお芝居礼賛(48)
この間BSテレビで昭和45年に公開されたイタリア映画「ひまわり」が放映されました。私はあまり映画は見ないのですが、この作品は当時大変話題になったもので一面黄色に染まるロシアのひまわり畑の前で悲しげに佇むソフィアローレン( …
私のお芝居礼賛(47)
先日BSテレビで昭和32年アカデミー賞受賞作品のアメリカ・イギリスの合作映画「戦場にかける橋」が久久に放映されました。私はあまり映画を見ないのですが、学生の頃から何度か見た映画なので懐かしくなって3時間の大作をじっくりと …
私のお芝居礼賛(46)
平成30年2月の下北沢本多劇場は、戦前から戦後にかけて活躍した歌手淡谷のり子の物語「Sing a Song」でした。昭和6年の満州事変から昭和20年の敗戦に至るまで、貧しかった日本はその持てるすべてを戦争に投入し続けまし …
私のお芝居礼賛(45)
明治の文豪夏目漱石の小説“三四郎”の中に落語家の三代目柳家小さん(当代小さんは六代目)の話芸を称賛する表現で「小さんは天才である。あんな芸術家は滅多に出るものじゃない。何時でも聞けると思うから安っぽい感じがして甚だ気の毒 …
私のお芝居礼賛(44)
平成29年12月の観劇納めは歌舞伎座で坂東玉三郎・市川中車主演による「瞼の母」でした。(私が勝手に選んだ)劇作家長谷川伸5大名作のうちの一つで、今年は歌舞伎でなんとそのうち三作も取り上げられ嬉しいことこの上ありません。 …
私のお芝居礼賛(43)
平成29年11月の国立劇場は、(私が勝手に選んだ)長谷川伸5大名作の一つ「沓掛時次郎(くつかけ ときじろう)」でした。昭和3年に発表されたこの作品は、映画や商業演劇ではよく演じられましたが歌舞伎では41年ぶりのホントに久 …
戦争と経営の共通点(9)
鋭きも鈍きも・・・ 江戸時代後期に広瀬淡窓という儒学者が大分県日田に咸宜園(かんぎえん)と言う私塾を開いていました。咸宜とは“ことごとく よろしく”と読み、学問を志す者ならば身分を問わず平等に受け入れるという意味だそうで …